「できる」と「出来る」の違い・使い分け

「〜出来ます」の例 ブログ

「〜できる」という言い回しがあります。「スキーができる」「運転できる」「理解できる」など、○○することが可能であるということを表す言い方です。漢字で書けば「出来る」ですが、この場合は「できる」と平仮名で書くのが望ましいとされています。

政府によって出されている『公用文における漢字使用等について』という文書でも、「できる」と平仮名で書くべきであるケースについての記述があります。

今回はその違いと使い分けについて確認したいと思います。

新聞社やテレビの報道関係では「できる」の使用が多い

まずはじめに断っておきますが、この「できる」については漢字で書いても平仮名で書いても、どちらも日本語として間違っているわけではありません。新聞社や出版社、各媒体の方針もそれぞれによって異なります。

例えば、共同通信社が発行している『記者ハンドブック』では、「動詞、副詞などは原則として平仮名書き」と説明したうえで以下のような使用例を挙げています。

…することができる、できる限り、できるだけ、橋ができる、勉強がよくできる、用事ができる、理解できる、利用できる

『記者ハンドブック』共同通信社

では、そのほかの媒体ではどうでしょうか? グーグルのニュース検索で、「できる」と「出来る」それぞれのキーワードでヒットするニュース記事の数を調べてみました。

結果は「できる」が約137,000,000件、「出来る」が10,500,000件で、平仮名の「できる」の方が約13倍多く使われていることがわかりました。

  • Bリーグの外国人選手6割入国できず コロナ対策で苦境(朝日新聞)
  • 高校普通科再編 画一的教育から脱却できるか(読売新聞)
  • 脱炭素と両立できる経済復興策に(日本経済新聞)
  • 安倍政権の新会議体制「コロナの不手際」挽回できる?(毎日新聞)
  • 増える「浸水想定区域」住民、災害リスク軽減できるか(産経新聞)
  • 韓国外務省 日本とのGSOMIA「いつでも終了できる」(NHK)
  • ツイッター、投稿に返信可能な人を制限できる機能導入(ロイター)
  • リンクス攻略に笑顔 畑岡「楽しくできる」(時事通信)

以上のように、大手の新聞社や通信社はほとんど「〜できる」と平仮名表記をしていました。

また冒頭でも紹介した『公用文における漢字使用等について』という政府からの文書の中には以下のような記載があります。

次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
 例 ある(その点に問題がある)
   いる(ここに関係者がいる)
   こと(許可しないことがある)
   できる(だれでも利用ができる
   とおり(次のとおりである)

『公用文における漢字使用等について』

以上のような状況をまとめると、「〜できる」と平仮名で表記する方が多数派のようです。

ただし、同じテレビ局でも報道番組とバラエティ番組では扱いが異なることも多く、バラエティ番組ではときどき「〜出来る」というテロップが見られます。これはおそらく、バラエティ番組の場合は外部の制作会社が携わっていることが多いからでしょう。

「出来」と漢字を使う場合もある

では、「出来」はすべて「でき」と表記するべきかというと、実はそういうわけでもありません。上で取り上げた『記者ハンドブック』では「動詞、副詞などは原則として平仮名書き」とし、それとは別に漢字で書く例も挙げています。

上出来、出来合い、出来上がり、出来上がる、出来心、出来事、出来過ぎ、出来損なう、出来高(払い)、出来値、出来のよい作品、出来不出来、出来具合

『記者ハンドブック』

ちょっとややこしいかもしれませんが、名詞として語句が定着しているものは漢字で書くということです。また、「出来上がる」「出来損なう」といったように「出来」にほかの動詞が結合したような動詞も漢字で書くとしています。

以上のルールにしたがって、可能な限り多く「できる」「出来る」が登場する文を作ってみました。

出来のよい製品ができたので、できる限り多くの人が利用できるよう、下請け会社に出来高払いで大量生産してもらった。しかし納期と費用を削ったため出来損ないが多く出来上がってしまい、株式市場での出来値も下落。プロジェクトとしては上出来とはいえない結末だ。

日本語は難しいですね……

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